2015年名取収穫
2015.10.31
まずは見てください! こぼれんばかりに実った白い綿が広がる光景を。
宮城県名取市、津波被害を受けた東北の畑が、たわわに実った綿花で埋め尽くされました。
震災直後から綿花栽培に取り組んできた名取市の耕谷アグリサービスでは、ごく小さい面積での実験栽培からはじまり、ハウス栽培で一定の成果をあげ、そして露地の畑での本格的な収穫をめざして栽培担当の佐々木和也さんが中心となって研究を続けてきました。実を多く付けるために、開花時期を早めさせ、植える間隔・本数を計算し、成長する時の気温を考え…とさまざまな工夫をした結果、待望の実りに結びつきました。豊作となった綿の収穫作業を、チームメンバーが集まり10月31日に行いました。
種まきや収穫祭では朝に集合して午後には終了ということが多かったのですが、この日の集合は午後13時。作業量が多いのにどうして、と思ったら「朝はまだ夜露で濡れている。乾いていい状態で収穫するのは昼頃からがいいんです」と佐々木さん。綿のことを考えたスケジュールだったんですね。
白い綿の広がりを目にしたメンバーは興奮気味でしたが、さっそく作業開始。5つのチームに分かれて、とった綿の重量で勝負!となりました。
これまで開ききっていないものも、無駄にしないようになんとか引っ張り出して…という作業が多かったのですが、今回は違います。ふわふわの綿をつまむとすーっと伸びて、自然と殻から外れます。コットンボールもこれまで見てきたものよりずっと大きく、中に入っている綿の量もたっぷり。すでにもくもくとこぼれ出して、たれさがったり風でとばされそうになっているものもあります。最初のうちは、畝の端から順番に、開ききっていないものもていねいに摘んでいたみなさんも、時間が迫ってくるとまずはよくはじけているものをとらないと、とピッチもあがってきました。最後には1チームにつき段ボール5,6個分もの綿がとれましたよ。
計測の結果、1位のチームは総重量27.8キロ! この日全部合わせると115キロもの綿がとれました。佐々木さんによると「最終的に500キロは超えるだろう」という予測です。これは、当初プロジェクトがめざしていた、10アールあたり100キロという目標をほぼ達成できる数字です。綿の質も上々のようで「アカラ種(綿の品種)の平均より繊維長が長い」と、大正紡績の近藤さんも太鼓判を押していました。
震災から5年、栽培北限といわれる東北で、まったく未知の植物をたった5回の栽培経験で成果をあげるにいたった耕谷アグリサービスのみなさんには本当に敬服します。「まだできることがたくさんある、来年は1.5倍の収穫をめざしたい」という佐々木さんの情熱に、チームメンバーも刺激を受けたことでしょう。わたしたちもこれからできることを探しながら、一緒前に進んでいきたいですね!