活動レポート東北コットンプロジェクトの活動レポートです。

2016年名取収穫

2016.11.05

東北の綿花、豊作です!

震災後6回目の収穫を迎えた畑を前に、歓声が上がりました。すごい綿!
名取農場は年々収穫を増やし、昨年も栽培成功とお知らせしましたが、今年はそんなものじゃなかった!70アールの畑に植えられた綿木すべての枝に大きな実がつき、弾けた殻からはふわふわの綿がこぼれています。

栽培担当の耕谷アグリサービス・佐々木さんは「みなさんの笑顔が見たいからがんばりました」と控えめですが、収穫量を上げるためにさまざまな研究工夫を重ねています。
畑を見ると、昨年より綿木の高さがかなり低いことに気付きます。これは、伸びる枝を途中でカットして、実に栄養分を集中させるためだそうです。
「上に伸びて後から花が咲いても、もう実にはならないんです。そこに行く栄養を下の実の方にいかせて大きくする方がいい。枝葉を落としたほうが日当たりもよくなり成長します」と佐々木さん。確かに、葉が青々してまだ花が咲いている木もありますが、それより茶色く枯れた木のほうが実が多く、はじけています。葉が青いということはまだ木に水分が残っているから。乾燥するから実がはじけるので、この時期には完全に葉も落ちて実をつけただけになっていることが大事なんですね。

この出来栄えには、チームメンバーからも感嘆の声がきかれました。
種苗会社ハクサンの小宮山さんは「名取、荒浜とも天候不順の今季、野菜までとても高騰している中、どの株もまんべんなく実を開かせているのは、栽培方法の熟成を意味している」、東洋綿花さんは「テキサスに負けない畑」と賞賛していました。

チームメンバーやボランティア50名ほどでこの日収穫した綿は280キロ。それでもまだ半分くらいしか取りきれず、昨年の収穫量312キロを大幅に上回るのは確実です。

名取の綿花畑は、同じ作物を続けて育てることによる連作障害にならないように毎年少しずつ場所を変えています。今年の畑は、初年度震災直後に植えたのと同じ場所です。発起人リー・ジャパンの細川さんは「海水が流れ込んで塩分濃度も高く、沼のようで、育つかなと思った。それが今はインドの綿畑のように見える。現地の方々の努力の賜物です」と話します。たったの5年でここまで見事な成果をあげてくれた佐々木さん、耕谷アグリサービスのみなさんには本当に頭が下がります。

被災農地でも気温が低くても、綿花は育つ。今では日本各地の綿花栽培者さんが視察に来るほど「名取の綿花」は注目されています。「宮城県の地図に、産地として綿のマークがつくようになれば」という当初の願いも、夢ではないかもしれない。震災の復興、地域振興、新しい産業の創出というプロジェクトの目的をいよいよ実現させるべく、チーム一同思いを新たにした1日となりました。