活動レポート東北コットンプロジェクトの活動レポートです。

荒浜綿摘み

2012.01.14

1月14日、荒浜圃場で綿の摘み取りを行いました。
昨年11月のワタ見会で畑から抜いた綿の木は倉庫に保管、乾燥してコットンボールが開くのを待っていました。しかし気温の低下もありなかなか開かず、12月中旬に急遽ビニールハウスを設置、明るく温かい中で少しでも早い収穫をめざしていました。
ビニールハウスいっぱいに摘まれた綿の木は、1月中旬のこの時期も、完全に開ききったものばかりではありませんが、次の段階、綿を紡いで糸にする工程に進めるため、収穫することとなりました。

収穫の前に、参加企業の有志が圃場の土壌及び綿花の放射能検査をお願いした、東北大学理学部物理学科原子核物理研究室を訪問しました。検査結果については別ページで報告していますが、実際に検出に使う機器やデータを見ながら、試料測定の方法や理論の講義を受け、理解を深めました。同研究室は、震災以降精力的に測定、解析を行い、復興策に取り組んでおられ、当プロジェクトにもご協力いただきました。お忙しい中本当にありがとうございました。今後参加チームの中でも勉強会を開き、情報を共有していきたいと考えています。

午後からの収穫では、生産農家、参加企業の有志ら30名ほどが集まり、一斉に摘み取り作業を行いました。まずは綿の専門家、大正紡績・近藤さんのレクチャーを受けます。
綿は、コットンボールの中、4つから5つの部屋に分かれて入っています。完全に殻が開いているものはワタ状になっていてすぐに取り出せますが、固く閉じたものの中は房のような状態のままで、湿っています。しかし房を引っ張ってみると、すーっと伸びて、繊維になっていることがわかります。糸になるのは長繊維ですが、こちらは短繊維といい、生地にふくらみを持たせるそうです。長い繊維と短い繊維があるために間に空気が入ってふんわりする、そこが綿のよさというわけですね。今回は収穫量が多くないので、本来ならはじいてしまうものでも殻を剥いて取り出し、無駄なく使うことになりました。

収穫した綿には種も一緒に入っており、紡績の機械で綿と種が選り分けられます。取り出した種は、次の植え付けに使う予定ですが、綿の種は3年間で劣化するので、4年目からは、また新しい種を使っての栽培になるそうです。ちなみに1ヘクタールあたりに必要な綿の種は、10万粒、およそ10kgだそうです。

当初摘み取り作業は10人いれば1〜2時間で終わるのでは、ということでしたが、思いのほか手間取りました! 1本の木に20〜30個のコットンボールがついていますが、多くは固く閉じていて、剥くのに一苦労。さらに中にも部屋に区切られてひとつひとつが入っているので、それをはがして残らず取り出すので、なかなかの時間がかかります。この固い殻を、綿が膨らむことで自然に開かせているかと思うと、植物の力はすごいな、などと壮大なことも考えながら、黙々と作業していきました。

午後いっぱいかけて4分の1ほど残して、終了。収穫した綿の一部を箱に詰めて、綿の花生産組合赤坂さんから、大正紡績近藤さんに手渡されました。記念すべき荒浜からの初出荷です。
「毎年3000トンの綿を扱っているけど、それと同じくらいの重みを感じます。綿の品質もよく、みなさんの苦労が実りました。1gでも多く糸にすることを誓います」(近藤さん)
「大変中身が濃いものだから、是非いい製品をお願いします。昨年失敗した分を踏み台にして、今年こそ最高の物に仕上げたい。さらに飛躍して一大産地をめざします」(赤坂さん)
大きな拍手と、笑顔の記念写真で、収穫の日を終えました。