活動レポート東北コットンプロジェクトの活動レポートです。

名取収穫感謝祭

2012.10.20

10月20日、秋晴れの下、名取綿畑で収穫開始イベントが行われました。

名取で綿を栽培している耕谷アグリサービスでは、毎年お客さんを招いて収穫感謝祭を行っていたそうですが、昨年は震災で稲作ができず開催できませんでした。今年は米作りを再開、綿花栽培も2年目に入り、それぞれ実りの時期を迎えたことから、2年ぶりに収穫祭を行うこととなりました。耕谷アグリ代表佐藤さんは開会の挨拶で、「農家が米を仕入れて卸す、という異常な事態」と昨年の辛い状況を説明、それだけに無事に迎えられたこの収穫祭を、復旧・復興・感謝の思いで行いたい、と語っていました。来賓の県や農協の方が宮城県の農業の状況を話されていましたが、半分以上の農地が復旧、米の作況指数は105とのこと。これは全国平均102を上回る数字です。農業の復興に向けて、幸先よいスタートを切ったといえるのではないでしょうか。

セレモニーでは、プロジェクトチームメンバーでもある宮城県農業高校の「復興太鼓」が披露されました。これは、同校の白石校長先生が「地元の復興に宮農も一役買いたい、若い力で仙台平野の農業をバックアップしていきたい」との思いから、地元に伝わる「閖上太鼓」にならって立ち上げたもの。今年4月に生徒に呼びかけてチームを結成、1年生6名とともに校長先生も練習を重ねてきたそうです。始めたばかりで上手ではないですが、と言われましたが、「よろしくお願いします!」と元気なあいさつで始まった太鼓演奏は、音もリズムも力があり、胸に迫るものがありました。観客の方々も真剣に聞き入っていて、終了後には大拍手。素晴らしい幕開けでした!

この日は、耕谷アグリのお得意様や近隣の方々、ボランティアのみなさん、それに東北コットンチームメンバーなど200名以上が集まりました。セレモニーの後には、みんなで綿畑に移動、いよいよ綿の収穫です。昨年の2倍ほどの畑には、品種ごと、3種類の綿が植えられています。種を直播きしたところ、苗を植えたところ、それぞれ生育状況も違うようですが、大きいものは大人の背丈ほどもあり、あちこちにコットンボールが弾けています。綿花を担当している耕谷アグリの佐々木さんにお話を聞くと、昨年の経験を生かして、ビニールハウスで加温して苗を育てたり、植える間隔を広げる、風で倒れないように土寄せや支柱で支えるなど、さまざまな工夫をしているそうです。「夏の間はひたすら、ひたすら手で草取り」とのこと、本当にお疲れさまです!佐々木さんは、ブログ「耕谷アグリの農作業日記」で畑の様子を報告してくれています。こちらによると、この日の収穫は7kgとのこと。まだ収穫は始まったばかりなので、これからが楽しみですね。

収穫の後は、お待ちかねのお食事タイム。焼きそば、焼き鳥、そして有名な耕谷もち。つきたての柔らかいおもちを、納豆やごまあん、お雑煮で…おいしかったです!食べながら、飲みながら話も弾みましたが、地元の方々からは、収穫を迎えられたことへの、格別の思いが伝わってきます。震災後仙台空港に避難した方からは、耕谷アグリから真っ先におにぎりが届いたこと、松林がなくなり海から冷たい風が吹くようになったこと、農地を復興するために防風林を再生する活動をしていること、など貴重なお話を伺いました。ボランティアを続けている奈良県広陵町のみなさんは、バスで15時間かけて来られ、支援物資も贈呈されていました。さまざまな縁がつながっていることを感じます。

さて、イベントのお楽しみは大ビンゴ大会。チーム企業から集まったタオルやアパレル製品、雑貨などのほか、耕谷アグリサービスからは新米30kg分が!新米が当たった人には「いいなー」と羨望のまなざしが。お洒落なデニムを「孫のお土産にするわ」というおかあさん、お互い景品を見せ合って交換するメンバー、みんな打ち解けて和やかムードでした。

この日は荒浜の農家さん、宮農3年2組の阿部先生と男子数名も来ていて、東北コットン生産者が揃っていました。綿花栽培を中心に、輪が広がっていることを感じます。来月は荒浜の収穫祭、また畑でお会いしましょう!