2013年種まきー荒浜
2013.06.14
東北コットン、2013年のシーズンが始まりました!
綿栽培も3年目を迎え、あらたな段階へと進んでいるプロジェクトです。今回は、5月18日に行われた仙台市荒浜地区の種まきをレポートします。
荒浜の栽培を担当していた仙台東部地域綿の花生産組合は、昨年11月「株式会社荒浜アグリパートナーズ」として運営を開始、より地元に密着したプロジェクトとして育てていくことになりました。綿のほかにも、大豆、稲作、トマトやきゅうりなど野菜のハウス栽培など、地域の農業再生をめざします。現地にはビニールハウスが並び、まあたらしい用排水設備も整い、本格的な農業への体制が着々と進んでいました。代表となった渡邉静男さんは、「3年目でこうして復興できたのは私自身も信じられない。これも3年前に思い切って綿を始めて毎日動いてきたことと、多くの支援をいただいてきたからだと思います」と話します。念願だった稲作の再開について語るときには満面の笑顔が浮かび、生産農家さんたちの再生への喜びが伝わってきました。
綿に関しては、荒浜地区では今年は2.2haの作付けとなりました。作付け面積を拡張した昨年、課題となったのは綿が負けてしまうほどの雑草と、害虫です。これまで綿は日本ではほとんど作られていなかったため、除草剤などの農薬が認められていないため手作業で取り除くしかなく、人手が足りず対応しきれませんでした。今後被災農家の自立復興をめざすためには生産量を増やすことが必要です。そこでチームメンバーの全農はじめ関連企業、行政の取り組みにより、特例措置として除草剤、殺虫剤の適用拡大が認められました。今回一部の畑には、綿が成長する6月末まで雑草を抑えるという除草剤を散布したとのことです。
昨年までの圃場は、津波のため砂を被っていたり、田んぼの土がそのまま乾燥してごろごろした塊があったりしたのですが、今年はきれいに耕され、土はふかふかです。歩くと雪の上のように足跡がくっきり。農家さんも、これまででいちばんいい状態だといいます。そこにポットで発芽した苗を植えていきます。
綿の植え付けは、畑に一列に並んで、横に渡したロープの印に一斉に植えては一歩前に進みます。おなじみになってきた光景です。でも、本当に綿ができるのか、芽が出るのか、と不安に思いながら植えていたこれまでとは、少し印象が違ってきました。環境も少しずつ整い、回りにも水の張った水田や、農作物が育つ畑も増えてきました。緑が広がる景色、収穫への期待もふくらみます。
用意した苗を植え終わったら、残りは種を直播き。昨年収穫した綿から取り出した、まだ綿がついている種です。発芽しやすいように、水につけてあるものを土に蒔いていきます。
この日はチームメンバーや、地元の方々など総勢100名ほどが参加。昨年クラスで取り組んでくれた宮城県農業高校からも、新しい生徒さんが来てくれました。朝からとりかかり、お昼を挟まずに一気に最後まで。さすがに疲れた、腰が痛い、といいながら、みなさんやっぱり笑顔です。みんなで植えて、一緒に育てていく、そんなことが感じられる、種まきです。
さて、荒浜と同様に綿栽培3年目を迎えた名取市の圃場では、一足早く種まきが終え、すでに葉を付け始めていました。運営する耕谷アグリサービスでは、この時期田植えの真っ最中。地域の多くの農地を預かる同社では、震災後初めて稲作を始める圃場もあり大忙しだそうです!
次回は、今年から新しく栽培を始めた、東松島市の様子をお届けします。