2013年種まきー東松島
2013.06.21
今シーズン、宮城県東松島市に「東北コットンプロジェクト 東松島農場」が誕生しました。
この農場は、昨年まで荒浜で生産に取り組んでいた赤坂芳則さんが、あらたに作った農場です。赤坂さんの農業法人、イーストファームみやぎの本拠地、遠田郡美里町の近く、山だったところを農地にして綿花栽培を始めることになりました。
ここは津波被害を受けた農地ではなく、被災農家を直接支援するかたちではありません。しかし、東松島という場所で始めるのには理由があります。プロジェクトを始めるため栽培する場所を探したとき、まず候補になったのが東松島でした。下は震災から2ヶ月後、実際にプロジェクト発起人たちが訪ねた際の写真です。結果的には、候補地になった圃場は水を張って除塩をして稲作を再開することになったため、仙台市の荒浜になったわけですが、東松島は、いわばプロジェクト出発の地でした。
(撮影:江良慶介)
また、「ここを被災した方の癒しの場所にしたい」と赤坂さんは話します。東松島市は1100名を越える方が犠牲になり、家屋5500戸が全壊、という甚大な被害を受けました。今でも水を被ったままの地域が残り、鉄道も復旧していません。綿花農場の隣にも、東日本大震災で被災した方々の最大級規模の仮設住宅地があります。そこに住む方々にも参加して楽しんでもらえればと、綿花のほかにも果樹園なども計画中とのこと。ここは、丘に囲まれ、小さな池があり、魚がいて鳥も飛んでくる、ビオトープのような空間です。綿がきっかけで、癒しの場づくりが進んでいます。
この新しい農場で、5月25日に綿の種まきを行いました。山を開墾したばかりで、まだ木の切株がゴロゴロと残る農場に、直接種を蒔きました。何も植えたことのない土地で生育も未知数、おそらく土はやせていて、繁茂する状況にはならないだろうと、他の農場より畝間株間も狭く蒔くことに。切り開いているだけに畑も変則的な形で、目印のロープを移動して、人もそれに従って移動してと、工夫しながらの種まきでした。
参加者には、プロジェクトメンバーの他、近隣の方々も目立ちました。以前参加した綿の摘み取りが楽しかったからと、内陸部から1時間かけてきたご夫婦、自宅が全壊して昨年末に家を立て直したばかりという石巻の方、震災後手作り製品を販売するグループを立ち上げた女性の方々など。震災のときの状況や、被災後の生活のことなど、立場はいろいろながら話をすることで、交流を深める機会になりました。お昼には、このあたりの郷土料理という「はっと汁」をごちそうになりましたよ!
農場の一角には、作業場兼農機具の格納庫があります。これは、東北コットンプロジェクトを進めていくうえで助成を受けた、農商工連携事業補助金により設置されました。「だから、ここはみなさんの農場と思ってください」と、赤坂さん。種まき、草取りや花見、綿摘みはもちろん、いつでもここに遊びに来てほしい、と話していました。
うまく育つか未知数、と言われていましたが、種まきから2週間後、しっかり芽が出たという報告がありました!これからどんな風景を見せてくれるのか、楽しみです。