活動レポート東北コットンプロジェクトの活動レポートです。

2013年荒浜収穫祭

2013.11.17

東松島収穫祭翌日の11月17日、雲ひとつない好天の中、荒浜農場で3年目の綿花収穫祭が行われました。プロジェクトチームや近隣の方、ボランティアの方、交流している中学生など300人ほどが集まりました。

東北コットンプロジェクトスタートの地ともいえる荒浜は、今年は新たな出発の年でした。
生産農家さんたちは荒浜アグリパートナーズという会社を設立、農作物を生産販売して自立の道を歩き始めました。2年8ヶ月前、津波によりほぼすべて流されてしまったこの土地で今年稲作を再開、新米が穫れました。プロジェクトが初めて綿の種をまいたときには何もなかった場所に田んぼや畑が広がる光景には、感慨深いものがあります。代表の渡邉さんは「お母さんたちの作ったおいしい芋煮、我々の作った新米のひとめぼれを大いに食べてください」とあいさつ、まさに収穫をお祝いする会となりました。

綿花畑は2.2ha、何ヵ所かにわかれて栽培していますが、すでに収穫した場所もあり、この日の収穫祭では一部の場所に残っている木を抜き、コットンボールを切り取る作業を行いました。
綿花栽培について、担当の松木さんは「今年はなるべくプロジェクトの支援に頼らず、自分たちの手で栽培する方向でやってきた」といいます。今年の綿花は背丈があまり伸びず、残念ながら育っていない部分もありました。ただ背の低い割にコットンボールをたくさんつけている場所もあり、肥料や栽培方法で生育状況が違っているとのこと。この経験が来年以降生かされていくことでしょう。

これまで荒浜の収穫祭では、プロジェクトチーム総出で出店やアトラクションなどを企画した大規模なものでしたが、今年は、農家さんたちが手作りで準備して、おもてなししてくれました。荒浜のお母さんたちが前日から仮設住宅の調理場で用意してくれた芋煮に、とれたての新米。あたたかい、格別の味わいでした!

アトラクションで盛り上げてくれたのは、地元の若者たちです。仙台育英高校チアリーディング部は、1,2年生22人が笑顔いっぱいに元気に演技、チア=応援する気持ちが伝わってきました。
合唱を披露してくれた南吉成中学校は、昨年以来定期的に参加しているおなじみの学校です。この夏には避難場所となった荒浜小学校を見学後に草取りを行い、また荒浜のメンバーが学校に出向いて講演したりバザーで東北コットン製品を販売するなど、交流を深めています。収穫祭には中学1、2年生約200名が参加、「来年は300人で来ます」と高橋校長先生、力強い応援団ですね。

荒浜は、ボランティアにやってくる方もたくさんいます。近隣の小中学校をはじめ、この夏は関東の大学から大勢参加して草取りなどを手伝いました。一度来た人がまた訪れ、 “綿花応援隊”のようになって草取りをし、今回収穫祭で行った「糸つむぎ体験」などにもつながっています。その輪の中心にいるのが、「キダじい」こと貴田さん。綿花栽培を担当し、ボランティアの窓口もしています。この日もたくさんの人から声をかけられていました。綿栽培を始め、続けてきて、人が集まる魅力ができてきたようです。
「何かの縁でここに来ているということは貴重なこと。課題はまだたくさんあると思うので、きちんと向き合って一緒にやっていきましょう」という事務局長江良さんのあいさつは、プロジェクトの意義を再確認する場面でした。綿花がつないだ縁を、これからも広げていきたいですね!