東北コットン中野幸英写真展 『give and take』
2016.03.08
東京・日本橋の中心地にある高島屋さんでは震災から5年となる3月8日から15日まで「明日へのエール」という東北復興のためのイベントが開催されました。
2011年の栽培当初よりプロジェクトに参加する写真家・中野さんによる作品が展示され、1階正面玄関からすぐの大きな壁面には、コットン栽培の成功と苦労を噛み締める作品が並びました。
「2011年度栽培時の、荒浜に津波が運んだ砂に蒔かれた種」「かすり作家大水綾子さんの糸をほどく優しい手」「厳しい塩害に力強く葉を伸ばす綿花の姿」など、震災時に新聞で見た厳しく空しい風景とは違った力強い作品たち。
「~私たちの営みにあるかすかな手触りの中には、
命を与え奪う、両極端の光景が同時に現れているのではないか」
展示あいさつより
関連した森岡書店・森岡督行氏とのトークショーは満員。森岡氏に中野さんが「災害後をテーマにする」作品制作の難しさと、「東北コットン栽培」での困難というバックグラウンドについて語られました。同情で震災を捉えるのではなく、何もなくなった場所に種を蒔き育てる、自然と人間の一方的ではない関係をクローズアップした『give and take』という作品制作に至ったそうです。
また併設されたプロジェクトの製品販売会では「天衣無縫」「高澤織物」「AyaAya」が出品し、会期中にはいくつも売り切れの品が出るほどの好評をいただきました。
会場で配られた新しいリーフレットや隣接した2015年の栽培成功を祝う記念写真も熱心に御覧いただいた方が多く、生産者からお客様までが栽培への努力と成功の喜びをともしたようです。名ばかりではない、今の東北へ思いを向けた復興イベントとなりました。