活動レポート東北コットンプロジェクトの活動レポートです。

東北コットン 栽培成功のご報告

2018.03.08

2017年度栽培は長雨の影響が見られるも、東松島で最大収穫量の見込み

宮城県3農場(名取・仙台荒浜・東松島)で行われている栽培は、2017年度夏の仙台で観測記録された36日間連続降雨の影響を強く受けました。収穫時期のズレが起こり今も収穫は続いているものの、栽培方法を自ら探った強みから全体収穫量では若干の減少程度の影響で収まりそうです。特に東松島では過去最大となる収穫量を見込んでいます。

日本北限/最大規模*の綿花畑をひきつづき達成

自給率0%の日本に於いて、北限栽培への挑戦だった3年間、被災農家のの収益を確保するため、他のコットンと混合して製品化、農家さんの収益を確保しました。その後は周辺作物栽培も再開されましたが、農家さんの希望で栽培と研究を現地で継続し、2015年度に収穫目標達成、2016年に合計1tに迫る収穫を達成。栽培成功を宣言しました。

*露地栽培において面積と収穫量として、プロジェクト調べ

復興プロジェクトからエシカル素材のブランドへ

当初震災チャリティーの目的が強かった本プロジェクト。8年目を迎える本年よりは、製品努力を各社行っていくことで東北発のエシカルな素材ブランド確立を目指します。将来を見据え、仙台駅では東北コットンコーナーを開設(みのりカフェ・仙台駅内)。農業支援>各社製品化>栽培成功から次なるステージへの挑戦をチーム全体で続けていきます。

復興プロジェクトからエシカル素材のブランドへ
*写真は「仙台駅東北コットンコーナー」の設置されている
みのりカフェ「東北セレクト」の棚
露地作付面積年度収穫量
2011年度160a100kg
2012年度800a457kg
2013年度280a377kg
2014年度180a*300kg
2015年度160a*550kg
2016年度160a*950kg
2017年度160a*収穫中(2018.3)

*印は別にハウス栽培もあり

復興の象徴としてのコットン

「塩害で農業ができない農家さんに、代わりの作物として塩に強い綿花栽培をしてもらう」
それが2011年栽培当初のきっかけでした。震災直後はとても栽培ができなかった稲作。その代わりとなる収益を農家さんにもたらすため、手探りでのコットン栽培が始まったのです。
結局初年度は全てのコットンを開かせることはかなわず、海外の産地のように期待された白い綿畑は実現できませんでした。それでも開かない実の中から収穫をしてプロジェクトとして買取り、少ない混率で紡績・製品化に成功した経緯があります。

  • 塩害1
  • 塩害2

2012年以後、被災農家さんたちは稲作を少しずつ復活させていくと共に、プライドをかけてコットン栽培に取り組みました。日本での気候にあった綿花栽培方法を独自に模索し続け、栽培をみごと軌道に乗せてくれたのです。
多くの人の手に渡る製品づくりのために、混率は今も多くはありません。しかしコットンの100%を輸入に頼ってきた日本で、これまでになかった新しい素材として、「衣類」「生地」の原料としてだけでなく、「地場特産品」や「観光資源」としても、また被災農家さんによる復興のしるしとしても根付いていくことが期待されています。

ここで参加メンバー企業である株式会社ハクサンからプロジェクトでの綿花の栽培について解説を頂きました。
ハクサンは世界中から新規性のある園芸植物をあつめ、主に園芸農家、販売店に卸す愛知を拠点とした法人です。プロジェクトでは当初の花壇苗の提供から、今では栽培のアドバイザーとしても活躍頂いております。

東北での綿花栽培とは

  • 雪の中での綿花栽培
  • 苗

これまで東北地方での綿花栽培は不向きと言われてきました。
その主な理由として、東北のような寒冷地の栽培には快適な温度と、収穫までの十分な栽培期間が確保できないことが挙げられます。また、名取や荒浜のように沿岸に吹く強い風は、倒伏ストレスを受けて生育が妨げられ、収量に影響を及ぼすことが分かってきました。

一方で耐塩性を持つ綿花は津波によって引き起こされた塩害土壌にも適応できました。さらに育苗を工夫した生育方法の確立により栽培を成功に導いたことは、収量が物語っています。これまでになかった東北の農業形態として、新たな可能性が見出されたのです。

プロジェクトで成し遂げたこと

  • 綿花と人々
  • 東北の空と綿花

日本の東北地域で収穫量を増やすための取り組みにより、2つの成果を挙げることができました。
まず一つ目は、不足する栽培期間を補う方法として、ビニールハウスで育苗を行い初期生育を確保したことです。これにより約2か月分の栽培期間を確保できたことになります。
二つ目は、摘心を行うことで枝数を増やしました。枝数を増やすことはつまり花数を増やすこと。結果として収穫量を増やすことにつながります。さらに、摘心の効果は株丈を低く抑えられて風の影響を受けにくく、倒伏防止にもつながります。

国土面積が小さく、そのうち約7割を森林が占める日本において単位面積当たりの収量を増やすことは、課題と言えるでしょう。綿花の自給率アップの観点からも既存の産地だけでなく、東北エリアにも拡大して新たな産地形成を目指すべきであり、また将来的に温暖化によって東北が有利な栽培地になる可能性も展望として有意義であると考えます。

プロジェクトの現地農家さんたちは、日本での本格的な綿花栽培の北限を更新できたと言えるでしょう。またプロジェクトはチームとして、糸を紡いだり製品を作ったりとそれぞれ役割を担い、これまで東北になかった作物の姿を作り出しました。

私はプロジェクトで初めて東北へ向かった時に見た、虫もカエルも、生き物の姿がない被災地と呼ばれた田畑を覚えています。そこでコットンが実り、人のつながりが生まれ、プロジェクトが更に充実するこの先を皆さんと見続けていきたいです。

株式会社ハクサン 小宮山公

栽培を応援してくださっている地元の方々、これまで遠方からもかけつけて頂いてきた多くのボランティア、理解をくださり製品を購入して頂いたお客様。皆さんに宛てて、プロジェクトの展開を自ら切り開いた農家さんたちから、嬉しいこの便りを届けたく思います。

2018年3月 東北コットンプロジェクト事務局